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病気の予防

ポットローズの場合、主要な病気はうどん粉病と黒星病です。 うどん粉病は17~25℃の比較的乾燥した環境を好みます。植物の細胞中に窒素化合物が増えすぎると、植物の細胞壁が弱くなり、弱ったところにうどん粉病の菌糸が付き、栄養を吸収します。

一方、黒星病は、被害茎や落葉した病斑上で越冬し、翌春、雨滴のはね返りなどにより伝染します。 そのため、20~25℃程度の比較的高温で雨が続く時期(梅雨など)に多発します。 いずれの場合でも、チッ素過多にならないよう、バランスの良い肥料やりを心がけます。また、鉢植えの場合なるべく雨に当たらないようにします。いずれもカビの病気で胞子をまき散らすことで拡散するので、根源を断つことが重要です。

植物の葉の表面にはワックスの様な薄い保護膜がありますが、この保護膜は葉齢が進むにつれ剥がれ落ち、葉の表面から失われるようになります。降雨により葉の表面から皮膜が徐々に失われて、黒星病の菌の進入がおこり易くなります。

いずれの病気にしても、発生してから薬剤を散布するよりも、発生する前に予防効果のあるものを散布することが大切です。また、殺菌剤と同時に機能性展着剤を混合・散布することで、人工的にワックス層を補うとより一層予防効果が高くなります。但し、殺菌剤を散布する場合、多用すると耐性菌が生じ、病気がコントロールできなくなる恐れがあるので、必ず、使用上の注意と、使用回数を守るように心がけましょう。黒星病に効果のある殺菌剤には、EBI剤(サプロール乳剤)、ベンゾイミダゾール系(ベンレート等)、アニリノピリミジン系(フルピカ等)、有機塩素系(ダコニール)があるため、耐性菌を発生させないためにも、それらをローテーションで散布してください。

どんなに気を付けても、植物も生物である以上、病気にかかることから逃れることは不可能です。仮に、感染した場合、うどん粉病は生きている葉にしか生存できないため、症状を示している葉を取り除き、うどん粉病に効果のある農薬を散布することで、ある程度防除できます。また、黒星病は落ちた葉もこまめに拾って処分する必要があります。しかし、病徴が現れている葉・茎に対し、薬剤をいくら散布しても、治療することは不可能であり、あくまでも病徴が現れていない葉・茎において、病原菌を死滅させることが薬剤散布の目的です。逆に、病徴部位をいつまでもほっておくと、病気の拡散元となり得るので、病徴を示している部位をこまめに摘み取ることがとても大切になってきます。しかし、こうなってしまう前に、あらかじめ予防的に散布する方が圧倒的に効果が高く、また使用回数も少なく抑えることができます。

また、その植物に最適な育成環境と、適切な管理に勝る病気予防は存在しません。